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無邪気な声が、爽やかな秋風に混じる。その声をずっと聞いていたくて、最後の勇気を振り絞る。
「す、好きだから。瑞奈のことが好きだから。」
「えー!」
逆光で表情はうかがえないが、瑞奈はかなり驚いたような声をあげた。
「ごめん。」
僕は当惑して、とっさに謝る。
「じょうだん(笑)」
眩しい夕日が地平に沈み、瑞奈の顔が見えるようになる。
「うちもべーちのことずっと好きやったよ。」
そう言って微笑む瑞奈の顔は、外からのオレンジとは別に、内から赤く照れてるように見える。僕はその姿にはっとして、一瞬、言葉が出てこなくなる。
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