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「凛!準備できた?そろそろ行かないと間に合わないよ!」
「出来たよ!もう行ける!」
「じゃあ乗って!」
「はーい!」
僕は青山 凛(アオヤマ リン)。
一週間前、緑豊かな田舎町『奥山町』に越してきた。
ここに越してきた理由、それは――
「凛、忘れ物ないよね?」
「…うん、ないよー」
車に乗り込み、ごそごそとバッグを漁り、忘れ物がないか確認した。
「じゃあ行くよー」
そう言って車を発進させる僕の父。
名前は青山 要(アオヤマ カナメ)。
眼鏡のよく似合う優しいお父さんだ。
母は僕が小さい時に亡くなった。
理由はまた後で。
今日は転入初日。
昨日お父さんと学校に挨拶に行った。
僕が転入する学校は、奥山町立奥山高校。
あ、僕はちなみに高校二年生ね。
奥山町にある唯一の高校で、町の子供たちの殆どが通っているのだが、町にいる子供が少なく、全校生徒は200人いくかいかないかくらいだ。
転入初日だけはお父さんが仕事に行くついでに車で送ってもらうことになった。
のどかな田舎道を車は進む。
僕は、何気なく車の窓の外を見た。
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