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この奥山町は、特殊な地形であるらしい。
周囲を山で囲まれ、川がせせらぎ、木々が生い茂る。
どうやら妖怪には住み辛い地形のようだ。
更には、誰がかけたのかは知らないが、妖怪が寄り付き辛い、結界なるものが、張られているらしい。
力の弱すぎる妖怪は通してしまうが、力の強い妖怪はなかなか入ってこられない、結構強力な結界のようだ。
その話を聞いた僕たち親子は、これ幸いと、奥山町に越してきたというわけだ。
――キキーッ
「…はい、学校に到着!…昨日より時間かかっちゃったけどね」
「ごめんお父さん…僕のせいで…」
「何言ってるの凛。お前のせいじゃないよ。…凛はもう少しお父さんを頼りなさい。ほら、早く行かないと遅刻するよ!」
「…うん。行ってきます」
「はい、行ってらっしゃい!」
僕が車から降りて校門をくぐったのを確認すると、お父さんはこちらに手を振ってから、車を走らせていった。
――お父さんはいつもああいうけど…やっぱり僕はお父さんに沢山迷惑をかけてしまっている。
…せめて僕が、自分の身くらい自分で護れればなぁ……。
でも、妖怪の倒し方なんて分からないし…。
僕がそんなことを考えて、気分を沈めていた時だった。
――ざわっ
「……?」
空気が変わった。
周りを見れば、登校していた生徒たちが、皆校門の方を見ていた。
生徒たちの視線の先。
(……リ、リムジン……?)
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