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思わず、中島くんの顔を凝視した
「意識した?」
「べっつに」
とはいうものの、そんなことを言われると無意識に意識してしまう
「子供じゃないんだし、そんなこといちいち気にしないわよ」
「あっそ」
そう言って、どんどん距離を詰めてくる中島くん
思わずあたしも後ずさる
ジリジリと下がっていくと、ベランダの端に背中が当たった
チラッと横目で後ろを見ると、そこはもうマンションの端
「あんまり下がると、落ちるよ?」
「じゃ…じゃあ、近寄ってこないでよ!」
その言葉に、ニヤッと笑う中島くん
暗い闇にもだいぶ慣れてきた目
いつもと同じ悪意たっぷりの笑顔で近付いてくるその表情は、あたしを開き直らせた
あたしの両脇の間にスルッと手を入れ、ベランダに両手をつく
どうせ、いつも寸止めだし…
そう思っていると、ふいに中島くんの唇がおでこに触れた
え…?
ちょっと待って―――
急なことで、停止する思考回路
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