第三章 公開捜査

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   数多の危機を、喜びを、悲しみを、試練を、共に乗り越えたからこそ成り立つ関係なのだろう。そんな秘書がいても、乗り越えきれない状況に東山は苛立っているのだ。 「東山さん、実際どうなんです? 不倫関係は無いんですか」  横柄な態度でソファーにふんぞり返る、三十前の刑事。  彼が、東山とは別の苛立ちの中で溢した言葉だった。  普段の東山なら、自分の息子程の刑事の言葉に激昂しただろう。  激昂したのは、秘書だった。 「口のきき方に気を付けなさい。貴方程度の刑事の人生、潰せるだけの力をこちらは有してるのですよ」 「すいません……」  東山以上の秘書の迫力に、若輩者の刑事が素直に謝った。  それは秘書ではなく、後ろにいる東山の力に怯えての事かもしれない。 「それで小百合は、まだ見付からんのか」  東山の希望は、いつしか警察が妻を見付ける事へと変わってしまっていた。
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