第一章 千葉北警察署刑事

7/37
5547人が本棚に入れています
本棚に追加
/378ページ
   交番の同僚も、無理だろうといい加減な対応をした。ところが酒口は、その日の内にラッキーを引き起こした。  当日の勤務を終え、帰宅前にコンビニに寄った。その時、ライターをまとめて五つも買った若者を目撃。  何となく気になったが、自分の買い物をして警察官舎へ向かう。 「あれっ、さっきの彼も同じ方向か」  だが、前方を歩く若者の挙動が、段々と怪しくなってくるのが気になった。周囲を伺い何かを探すような仕種、それが酒口には引っ掛かる。  その若者が、木造のアパートに目をつけた。 「怪しいよな……」  酒口はさっきよりも距離をとり、男に悟られないように尾行していた。そして、男は犯行に及ぶ。  アパート脇のごみ置き場。  男は、時間を無視して出されていた燃えるゴミの袋。正に、火を放とうとしている。酒口は、無言で近寄った。  そしてライターを持つ手首を掴み、犯行を未遂で止めた。
/378ページ

最初のコメントを投稿しよう!