第三章 公開捜査

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   北田は、テレビ画面の中にいた。  今の状況で顔を曝すのは、得策では無いと酒出たちは考えていた。  しかし、北田は自宅近くの河原で、好奇心丸出しのキャスター陣に取り囲まれ取材を受けてしまった。  千葉北警察署の新人刑事。  ヒヨコと呼ばれている酒口刑事の思い付き。彼が発言していた行動を、その飲食店経営者はしていたのであった。  北田は不倫関係を完全否定し、妻の安否を心配し瞳を潤ませている。これで終われば、悲劇の資産家となるはずだった。  そこで一人の記者が、質問を投げ掛けマイクを向ける。 「本当に、不倫はしてないんですか?」 「していません」  北田は、きっぱりと否定しこう続けた。 「他の被害者の旦那さんが不倫をしてる。だからと言って、私までが不倫をしてると決めつけないでいただきたい。私は、誘拐事件の被害者だ。それを考えて、マスコミの方も対応して頂きたいものだ」
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