5553人が本棚に入れています
本棚に追加
「では、山本 ますみさんとは、どのような関係なんでしょうか?」
「えっ……」
女性週刊誌の記者と名乗った男性記者が、急に具体的な名前を出した。その為、不意をつかれた北田は絶句する。
それが、不倫の事実を認めたかのようで、周囲の記者たちはそう受け取った。その直後、閃光のようにフラッシュが瞬く。北田は、明らかに動揺していた。
記者の発した氏名。
山本 ますみ。
彼女は、北田が千葉市内で経営する。フレンチレストランの店長兼、ソムリエールの女性である。
年齢は、二十五歳。
週に一度、新メニューの打ち合わせと称して、北田はその店に行く。そこで、山本 ますみと一夜を過ごしているのである。
新店をオープンの際には、どうしてもその頻度が高くなる。今の北田の頭には、ますみの顔が思い浮かんでいた。
「どうなんでしょうか、北田さん」
「ど、どうしてその名前を?」
最初のコメントを投稿しよう!