第三章 公開捜査

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  「では、山本 ますみさんとは、どのような関係なんでしょうか?」 「えっ……」  女性週刊誌の記者と名乗った男性記者が、急に具体的な名前を出した。その為、不意をつかれた北田は絶句する。  それが、不倫の事実を認めたかのようで、周囲の記者たちはそう受け取った。その直後、閃光のようにフラッシュが瞬く。北田は、明らかに動揺していた。  記者の発した氏名。  山本 ますみ。  彼女は、北田が千葉市内で経営する。フレンチレストランの店長兼、ソムリエールの女性である。  年齢は、二十五歳。  週に一度、新メニューの打ち合わせと称して、北田はその店に行く。そこで、山本 ますみと一夜を過ごしているのである。  新店をオープンの際には、どうしてもその頻度が高くなる。今の北田の頭には、ますみの顔が思い浮かんでいた。 「どうなんでしょうか、北田さん」 「ど、どうしてその名前を?」
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