第三章 公開捜査

47/83
前へ
/378ページ
次へ
  「匿名でタレコミがありましてね。誘拐事件の北田氏は、山本 ますみという女性と不倫関係にあるとね」 「だ、誰が……」  北田が、膝から崩れ落ちた。  その姿が放送されると同時に、北田が経営する飲食店に電話が、ひっきり無しにかかってきた。無論、予約キャンセルの電話である。  事件を利用し、イメージアップを図ろうとした企み。それが、一本の電話で脆くも打ち砕かれてしまったのだ。  それは、後の警察の捜査で明らかになる事。  匿名の電話は女性週刊誌の雑誌社だけでなく、テレビ局を初めとするマスコミ各社にかかっている。その声には、変声器がかけられていたそうだ。  テレビ局は、匿名の電話を録音していた。  それを、証拠として警察に提出。しかも、その日のワイドショーでも遠慮なく流していた。 『もしもし、OOテレビですか?』 「はい、報道デスクですが。どちら様でしょうか?」
/378ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5553人が本棚に入れています
本棚に追加