第三章 公開捜査

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   しばらくして警察が現れ、引き剥がすようにマスコミたちは排除されてしまう。  それで、ますみは解放された。  こうなると、マスコミの興味の方向は自然と動く。愛人の存在が、明らかになっていない東山の不倫関係の有無だった。 「そんなもん、いるに決まってるだろうが。何なら、三人や四人とか複数でな」 「いや、いくら何でも複数は……」 「東山ほどの資産家なら、寄ってくる女はいくらでもいる」 「だからって、愛人が複数あるのとは別の話しでしょ」  山本 ますみの勤める店の前から、撤退するマスコミ関係者がそう会話を交わす。  その口調は、下世話な世間話しのよう。  警察はもちろん、マスコミ関係者も四人の被害者の関連は掴めていない。だが資産家たちには、いくつかの共通点が存在していた。  身代金の一億円を、容易に準備出来る事。  妻が専業主婦である事。  子供がいない事。  千葉県内で成功を納めた事。
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