第三章 公開捜査

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            5    東山 一郎は、怒りにうち震えていた。  二日前に妻の小百合の誘拐騒ぎが起き、警察に通報した。特殊犯捜査課とやらから、刑事やら鑑識やらが来て居間を占拠。  翌日。詳しい事情は分からないが、事件は公開捜査となる。  自分や妻の顔が、テレビで放映される。すると秘書の携帯電話が、ひっきりなしに鳴り出した。  事件発覚以降、刑事同様に東山邸に泊まり込んでいる秘書。そして電話の度に、秘書が報告に来る。更に他の資産家に不倫関係が囁かれ、事件の取り扱い方が深刻から興味本意な感じに変化した。  そこで、またももや秘書の携帯電話が鳴り響く。  そして今日、東山以外の三人の不倫関係が完全に明らかになる。誘拐事件より資産家のスキャンダルが、話題の大半を占拠するようになった。  一番若い南野に至っては、秘書が不倫相手である。  そこで、東山は秘書に問いかける。
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