5553人が本棚に入れています
本棚に追加
「マスコミ対策は、大丈夫だろうな?」
「はい。付き合いのある県議会議員に紹介いただき。ある大臣より、マスコミ各社に圧力をかけました」
秘書の口調からして、日常業務の報告でもするような自然さ。
だが、その内容は中々エグかった。
ソファーに腰かける刑事が、それを見て表情を歪める。圧力をかけるのが、日常なのかと。そんな意味合いの表情だろう。
南野の秘書は、小柄で知的な美人だが。東山の秘書は、東山よりは若い。だが年齢的には、決して若くない老人と呼ばれそうな男である。
秘書と言うより、執事の印象を持つ。
東山は本千葉銀行の頭取の座を、彼の父から命じられた二世頭取。だが秘書の彼もまた、二世秘書であった。東山の父の代には、秘書の父が東山の父の秘書だった。親子二代に渡り、主従関係を結んでいるのである。
だからこその信頼関係。
だからこその主従関係。
だからこそ、その圧力を受け入れる。
最初のコメントを投稿しよう!