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それは、犯人側からアクションが無いからであろう。誘拐ではなく失踪や行方不明の、捜索中の親族の反応だったのかもしれない。
「目下、鋭意捜査中であります」
現場の責任者たる刑事が恭しく東山に言ったが、それは言い訳という名の逃げの言葉。それ程までに、捜査は難航している。それは、東山も感じていた。
だからこそ、言葉にしてしまった。
だからこそ、刑事はそうとしか答えられなかった。
真実は、どこにあるのか。警察関係者、マスコミ関係者、被害者の関係者。その全てが、真実を見失ってるのかもしれない。
錯綜する情報の中のガセネタ。
迷走する情報と人の考え。
そして、関係者は更なる混乱に落ちていった。
東山の、不倫関係発覚。圧力によって抑制されていた、マスコミの東山への取材攻勢。
「私は今、千葉県で起きている四つの誘拐事件の被害者。東山 一郎さんと、不倫関係にあります」
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