プロローグ

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   あらかた着替えを済ませた女は、男に対し投げやりに声をかける。 「ねぇ?」 「何だよ」 「本当に、奥さんにはバレてないの?」 「最初から、知ってたかもしれない。だからって、あいつは何かをするような女じゃないさ」  男は女から手を離し、自分も服を拾い上げ身に付け始める。 「じゃあ、どうして私とこんな関係を続けるの?」 「それは、お前が妻と別れて結婚しろとか言わない。面倒な女じゃ無いからだ」  そして二人は、古びた部屋を後にする。  煙草の臭いだけが、室内に残っていた。      
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