5554人が本棚に入れています
本棚に追加
あらかた着替えを済ませた女は、男に対し投げやりに声をかける。
「ねぇ?」
「何だよ」
「本当に、奥さんにはバレてないの?」
「最初から、知ってたかもしれない。だからって、あいつは何かをするような女じゃないさ」
男は女から手を離し、自分も服を拾い上げ身に付け始める。
「じゃあ、どうして私とこんな関係を続けるの?」
「それは、お前が妻と別れて結婚しろとか言わない。面倒な女じゃ無いからだ」
そして二人は、古びた部屋を後にする。
煙草の臭いだけが、室内に残っていた。
最初のコメントを投稿しよう!