プロローグ

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私は器になって【災厄】を封印して生きる事しか生き方を知らない。 例え今回がいかに前代未聞の異例な事だろうと結果的に私は使命を果たせなかった事に変わりはないのだ。 結局私は人形になった。 周りに居る人達は私に食事を与えてくれるだけ。私を生んでくれた母でさえ私に何1つ教えてくれない。 彼らもまた、人としての感情・心が欠落していたのだ。 私の生まれた小さな村は、ただ【災厄】を封印し続ける為だけに存在する村。 その村に住む人達も同じ、【災厄】を封印する器を生み、それを監視し続ける。そして器の寿命が来たら新たな器を生み、生贄にする。 そこに人の情などない。そんな物は邪魔でしかない。 幸か不幸か、私は器との使命が果たせなかった為に心がある。 だがその心は育たない。 私自身、器として生きると思っていた為に心などに未練を残していなかったし、興味もなかった。 そもそも心を知りたいなんて気持ちがなかった。 だから、いきなり「あなたは器としての使命を果たせなかった為に心があります」と言われても私には何の事か全く理解出来なかった。 そして私は生まれてから5年間何もしないまま人形の様に生きた。恐らくこれからも、死ぬまで人形の様に生きる事になるだろう。 そこからまた2年、時がすぎる。 私が生まれてから7年。 私に初めての感情が芽生える。 死ってなんだろう・・・?
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