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「?」
草が揺れ音を立てた。
「!?」
草むらの中から、不気味な生き物が出て来る。
私はその姿を確認した瞬間に私の意思とは関係なしに勝手に足が動いた。
こうゆうのを本能と言えばいいのか。
あの不気味な生き物は私に答えを教えてくれる。
不思議な事に私はそれを求めいるにも関わらず、私は逃げた。
その生き物はから爪を剥きを出しながら私を追いかけてくる。
私はそれから必死に逃げる。
だが、7年間何もしないで過ごしてきた私に、森を走るほどの慣れは無かったし、体力もなかった。逃げ切れる訳がない。
受け身の取れずまま何度も転んだし、何度も木に体をぶつけた。そして爪で私の小さな体を斬られたりもした。
その度に私の体には生まれて初めての感覚が駆け抜け、徐々に体が動かなくなってくる。
それでも足を止めず精一杯私は足を動き出した。
何十分逃げただろう。いや、5分も逃げては無いのかもしれない。
気付いた時には、初めて見る赤い液体が私の体から流れている。
そしてあの生き物の姿が見えなくなっていた。それでも私は足を止める事はなかった。
気付いた時には雨が降っていた。
前なんて全然見てなかった。そんな余裕なんてなかった。
結果、私は大きく足を踏み外した。
小さな、だけどあの時の私から見たら大きな崖から足を滑らせて落ちる。
「・・・・・・っ!!!」
何度も呼吸が止まった。
また体の中から、赤い液体が流れてきた。今度は頭からも流れてくる。
崖から落ちた私の体はもう言う事を聞かない。
雨は、私の体の気温を奪っていき、赤い液体を沢山流す。
さっきから体中に感じていた、不思議な感覚が徐々に薄れていく。
大分意識がぼんやりしてきた。目が霞んで前が良く見えなくなってくる。
これが死ぬって事か・・・・・。
死という事を味わった事が無い私だったが、はっきり分かった。
私は死ぬんだ。
私が知りたかった事は思ったよりあっけなかった。
目を開ける事が出来なくなってきた私は目を閉じる。
雨がやんだ。
私の体はゆっくり抱き締められ、温もりを感じる。
微かに開く目を開ける。
ぼんやりだが、女性の横が見えた。
雨のせいなのか、女性の目から水が流れている。
「ごめんね。ごめんね。ごめんね・・・!」
女性はそんな言葉を口にしながら、私を抱き締め放さなかった。
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