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「ふむ…だが、そもそも何故私が…能力者なんぞに命を狙われなければならんのだ…」
安達の表情は本当に理解できないという顔だった。
(間違いなく普段の能力者批判のコメントが原因だろ!!)
とは誰も口には出さなかった。
「ちなみに君達の能力はどの程度なんだ?一見若いように見えるが、私の警護なんてできるのか?」
突然安達が問いかけた。
「さあ?向こうの能力がはっきりしないからな、護れるかどうかははっきりしないな。」
ケイトが無責任なことを言う。
その態度に安達は不満だったようで、
「貴様!なんだその態度は!目上の者には敬語を使えと習わなかったのか?これだから最近の若者は…」
不機嫌だった安達の怒りに再び火がつく。
(ああ、さっきの怒ってたのもこんな感じで…)
(沸点低過ぎない?)
(コイツ…氷漬けにしたろか…)
と各々思いを抱きながら説教をされた。
最後の方はただの能力者批判になっていた。
「そんな社会常識やモラルのない若者が能力を持つなんて危険極まりない!おい!聞いてるのか!」
「あの…お時間の方は…」
シノが恐る恐る言うと安達は時計を見てはっとした。
「あ、もうこんな時間か。全く、こんな奴らに休憩時間を割いてしまった…」
そういって安達は立ち上がりスタジオに向かうため部屋を後にした。
「はぁ…これやってけるのか?」
ケイトがため息をつく。
「アンタのその態度が招いたんでしょ!なんで私達まで…」
シノが不満を漏らす。
エイタは相変わらず苦笑で、
「まあまあ、任務は始まったばっかりだ。とりあえず安達さんの近くにいないとな。2人共、スタジオに行くぞ。」
その外見に似合わず温厚な性格のエイタは落ち着いていた。
その性格ゆえ他のワイパーからも慕われている。
「そうだな、んじゃあ、警護しますかなと…」
ケイトが伸びをしながら部屋を出る。
シノがため息混じりにそれに続く。
エイタはずっと苦笑を浮かべていたが実は不安が胸を占めていた。
(この事件には何か裏がありそうだ…この3人で乗り切れるのか…?戦闘になったとき一番相性が悪いのは俺かもしれない…)
その思いを隠してエイタも部屋を出た。
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