氷+鏡+最強

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「あ、そうだ。コードの話だったな。」 気まずい空気を嫌ってケイトが話題を戻す。 「…ああ、ここだ。先端を見てくれ。」 「これは…周りのビニールが溶けてる…?」 「そう、そしてシノが襲撃者を見つけたところからその照明までは7~8mはある。つまり…」 「つまり遠距離から攻撃できる能力、しかも恐らくレーザーの能力者が襲った、と?」 「ふふ、シノは話が分かるから嬉しい。レーザーの能力で間違いないと思う。」 「なら犯人はマヌケね。暗殺は失敗するし能力もバレるで大失敗じゃない。」 「これで対策も練れるな。」 エイタとシノが楽観する中、 「なんか引っかかる。」 ケイトが納得いかない顔で呟く。 「なにが気に入らないのよ?」 ケイトは人差し指をシノの前で立てる。 「まず1つ目、今までの暗殺は人目がほぼ無いときに行われていた。いたとしてもボディーガードくらいだ。」 確かにそうだ。 今までのケースでは標的が1人きり、あるいはボディーガードと2人きりのときに殺されている。 「だが今日のはスタジオだぜ?目撃者なんて何人いるよ?」 「…たまたま都合がよかったのかもしれないじゃない。」 だがケイトはシノの疑問をあえて無視して2本目の指を立てる。 「2つ目、犯人は邪魔されることを分かってたはずだ。」 「え?…どういうこと?」 「ワイパーの制服きた奴が2人もいるんだぞ?あんな手口だと確実に失敗する。」 「あ…」 シノとエイタは言われて初めて気付いた。 仕事の時は制服を着るのが癖になっていたため気づかなかった。 ワイパーは基本的に能力者で構成されている。 ワイパー=能力者と考えて問題ないくらいだ。 「そんな状況で暗殺を決行したのはな…たぶん…偵察なんじゃないか?」 「偵察…?」 「そう、テレビ関係者なら警護がつくのを知ってるだろ?どこからか情報が漏れててもおかしくない。」 「それで何を偵察したの…?」 「もちろん警護するワイパーの能力を、だよ。2人共能力使っただろ?能力がバレてるのは実は相手と同じなんだよ。」 「そんな!?そのためにわざと失敗させたって言うの!?」 シノは信じられないという風に首を振る。 「なるほど…犯人にしてやられたという訳か…」 エイタもここで納得して苦い顔をする。 2人共言いようのない脱力感に襲われた。
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