5人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
「あ、そうだ。コードの話だったな。」
気まずい空気を嫌ってケイトが話題を戻す。
「…ああ、ここだ。先端を見てくれ。」
「これは…周りのビニールが溶けてる…?」
「そう、そしてシノが襲撃者を見つけたところからその照明までは7~8mはある。つまり…」
「つまり遠距離から攻撃できる能力、しかも恐らくレーザーの能力者が襲った、と?」
「ふふ、シノは話が分かるから嬉しい。レーザーの能力で間違いないと思う。」
「なら犯人はマヌケね。暗殺は失敗するし能力もバレるで大失敗じゃない。」
「これで対策も練れるな。」
エイタとシノが楽観する中、
「なんか引っかかる。」
ケイトが納得いかない顔で呟く。
「なにが気に入らないのよ?」
ケイトは人差し指をシノの前で立てる。
「まず1つ目、今までの暗殺は人目がほぼ無いときに行われていた。いたとしてもボディーガードくらいだ。」
確かにそうだ。
今までのケースでは標的が1人きり、あるいはボディーガードと2人きりのときに殺されている。
「だが今日のはスタジオだぜ?目撃者なんて何人いるよ?」
「…たまたま都合がよかったのかもしれないじゃない。」
だがケイトはシノの疑問をあえて無視して2本目の指を立てる。
「2つ目、犯人は邪魔されることを分かってたはずだ。」
「え?…どういうこと?」
「ワイパーの制服きた奴が2人もいるんだぞ?あんな手口だと確実に失敗する。」
「あ…」
シノとエイタは言われて初めて気付いた。
仕事の時は制服を着るのが癖になっていたため気づかなかった。
ワイパーは基本的に能力者で構成されている。
ワイパー=能力者と考えて問題ないくらいだ。
「そんな状況で暗殺を決行したのはな…たぶん…偵察なんじゃないか?」
「偵察…?」
「そう、テレビ関係者なら警護がつくのを知ってるだろ?どこからか情報が漏れててもおかしくない。」
「それで何を偵察したの…?」
「もちろん警護するワイパーの能力を、だよ。2人共能力使っただろ?能力がバレてるのは実は相手と同じなんだよ。」
「そんな!?そのためにわざと失敗させたって言うの!?」
シノは信じられないという風に首を振る。
「なるほど…犯人にしてやられたという訳か…」
エイタもここで納得して苦い顔をする。
2人共言いようのない脱力感に襲われた。
最初のコメントを投稿しよう!