氷と鏡のコンビ

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「退屈だな。」 ビルの屋上で双眼鏡を覗き込みながら男が呟く。 23時を少しまわった市街地はまだ人ごみと喧騒が絶えない。 〈…アナタ本当に集中力ないのね。〉 その喧騒を押しのけるように無線越しに女のあきれた声が返ってくる。 「だってよぉ、もう3時間も見張ってるんだぜ?いくらなんでも集中切れるよ!」 〈そういう仕事なのよ。いい加減慣れなさい。〉 男とコンビを組むこの女、シノは彼と同じ17歳であるが職場では先輩にあたる。 2人の仕事というのは"ワイパー"という秘密警察の一種である。 ワイパーは基本的に"能力者"で構成されている。 そしてワイパーが担当するのは、その能力者絡みと思われる事件ばかりである。 「そんなこと言ったってなぁ…あっ!アイツそうじゃない?」 人ごみの中にその標的の男を見つけた。 だが標的は人目をできるだけ避けたいようだ。 〈どこ?〉 「シノから見たら2時の方向。マズイな…路地に入る…俺先行くわ!」 〈待って!一人じゃ危な…〉 「大丈夫だよ…っと。」 男は既に屋上の床を蹴っていた。 屋上伝いに標的の入った路地を目指す。 〈待ちなさい!まだ私は捕捉できてない!〉 再びシノの声が飛ぶ。
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