氷+鏡+最強

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そのとき… ジリリリリリ!! 突然、大広間に何かの警報が鳴る。 〈シノ!何が起こった!〉 エイタの顔付きが引き締まる。 〈これは…確か、火災警報だわ。確かに下の階で火災が起こってる。〉 シノは既に鏡の破片を展開している。 「敵か?」 ケイトも真面目な顔つきになる。 〈ええ、火災が発生してる部屋は15階…本来人がいない倉庫のようね。人為的なものと考えていいと思うわ。〉 〈よし、俺とシノで下の階に向かう。ケイトは安達さんを連れて上の階へ避難しろ!〉 エイタが指示を飛ばす。 〈了解。〉「分かった。」 ケイトは安達の側に素早く近づく。 「いったいどうなってるんだ!これは犯人の襲撃か!?」 この状況で安達は取り乱しているようだ。 「下の階から犯人が来る。犯人はシノとエイタが抑える。俺たちは上の階に退避するぞ。いいか?」 「わ、分かった。」 ケイトは安達を連れて階段を目指す。 「2人とも、気をつけろよ。」 ケイトは無線に言づて、足を早めた。 エイタは慎重に下の階を目指し駆けていた。 「シノ、人影は見当たらないか?」 シノは常にエイタがいる2~3階上でサポートしている。 「ええ、今のところ見当たらないわ。でも、物陰に潜んでるかもしれないから気をつけて。」 「分かってる。」 エイタは周囲の音に集中する。 だが物音一つ聞こえない。 不気味なほどの静寂が2人を包んでいた。 その静寂がより2人を緊張させた。 そうして2人は1階ずつ降りていく。 一方ケイトと安達は50階の廊下を上の階を目指して歩いていた。 もちろん屋上に出るなんてことはしない。 最上階の65階に留まるだろう。 「なぜだ…なぜ私ばかりが能力者に苦しめられなければならない…」 安達は苦い顔で呟く。 「…昔、能力者と何かあったんッスか?」 ケイトが遠慮がちに兼ねてからの疑問を口にした。 安達は押し黙ったまま歩く。 (やっぱり言いたくないか…) 「…もう15年も前だ。銀行に人質をとって立て篭もる事件があった。」 突然安達が語り出した。 「犯人は能力者だった。その頃はワイパーなんて無かったからな、警察が対処したが当然、適うはずなかった。」 「…」 ケイトは黙って聞いている。 「機動隊が歯が立たない警察は状況を引き延ばしにかかった。結果、理性を失っていた犯人は能力を暴走させて人質を道連れにして死んだ。」 その暗い過去を安達は淡々と言葉にした。
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