氷+鏡+最強

17/29
前へ
/38ページ
次へ
その結果にショウの動きが止まった。 2人を降り注ぐ水が濡らしていく。 「そんな…俺のレーザーが当たらなかった…」 ショウは今まで築いた自信を完全に崩されてしまったようだ。 (サンキュー、シノ。) ケイトは心の中でシノに感謝する。 「要するに密度だ。空気中の水分だけじゃ氷にしたときの密度が小さい。その分屈折率も低い。だから屈折させても体に当たった。だが水があるなら…結果は見ての通りだ。」 以前、氷剣のモロさを指摘されたときシノに言ったことだ。 それを覚えててくれたことにケイトはひたすら感謝している。 「くっ…」 ショウは俯いたままワナワナと震えている。 ショウがようやく顔上げた。 その顔からは怒りや悔しさが滲み出ていた。 突然、ショウはレーザーを真横の壁に叩きつけた。 火花がさっきまでの攻撃と迫力が違うことを示している。 そしてそのまま腕を動かし始めた。 レーザーはそのまま上がっていき、天井、向かいの壁、床を経由してもとの位置に戻って行く。 レーザーが一周回って、もとの位置に戻った時、足元が揺れ始める。 「な、なんだ!?ガス管でも切ったのか!?」 ケイトはよろめく。 だが、ショウの立っている所は何とも無いらしい。 床が上下にズレる。 ケイトの立ち位置がどんどん下がり始める。 「まさか…ビルごとレーザーで切ったのか…!?」 ショウが上からケイトを見下ろす。 「これが俺の最大出力だ。この高さでは能力者といえど死は確実!瓦礫の下敷きになれ!」 ケイトはビルごと眼下の闇に落ちていく。 「さて、では安達を殺して帰ろうか。」 ショウが向きを変え、歩き出そうとする。 「どこに行くんだ?俺はここにいるぜ?」 ショウの背後から聞こえるはずのない声がする。 振り返ろうとするショウの顔面に拳がめり込む。 能力者の膂力で殴られたショウは4~5mは、ふっ飛ばされる。 鼻からは血が噴き出す。 殴ったのはもちろんケイトだ。 「なぜ…お前がここに…お前はビルごと落ちていった!」 「誰が?何と?落ちていったって?」 そこでショウは気づいた。 「ビルが…直ってる…!?」 先ほど倒壊したはずのビルの一角が元に戻っていた。 だが傷は確かにある。 「どういうことだ…!?」
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加