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その結果にショウの動きが止まった。
2人を降り注ぐ水が濡らしていく。
「そんな…俺のレーザーが当たらなかった…」
ショウは今まで築いた自信を完全に崩されてしまったようだ。
(サンキュー、シノ。)
ケイトは心の中でシノに感謝する。
「要するに密度だ。空気中の水分だけじゃ氷にしたときの密度が小さい。その分屈折率も低い。だから屈折させても体に当たった。だが水があるなら…結果は見ての通りだ。」
以前、氷剣のモロさを指摘されたときシノに言ったことだ。
それを覚えててくれたことにケイトはひたすら感謝している。
「くっ…」
ショウは俯いたままワナワナと震えている。
ショウがようやく顔上げた。
その顔からは怒りや悔しさが滲み出ていた。
突然、ショウはレーザーを真横の壁に叩きつけた。
火花がさっきまでの攻撃と迫力が違うことを示している。
そしてそのまま腕を動かし始めた。
レーザーはそのまま上がっていき、天井、向かいの壁、床を経由してもとの位置に戻って行く。
レーザーが一周回って、もとの位置に戻った時、足元が揺れ始める。
「な、なんだ!?ガス管でも切ったのか!?」
ケイトはよろめく。
だが、ショウの立っている所は何とも無いらしい。
床が上下にズレる。
ケイトの立ち位置がどんどん下がり始める。
「まさか…ビルごとレーザーで切ったのか…!?」
ショウが上からケイトを見下ろす。
「これが俺の最大出力だ。この高さでは能力者といえど死は確実!瓦礫の下敷きになれ!」
ケイトはビルごと眼下の闇に落ちていく。
「さて、では安達を殺して帰ろうか。」
ショウが向きを変え、歩き出そうとする。
「どこに行くんだ?俺はここにいるぜ?」
ショウの背後から聞こえるはずのない声がする。
振り返ろうとするショウの顔面に拳がめり込む。
能力者の膂力で殴られたショウは4~5mは、ふっ飛ばされる。
鼻からは血が噴き出す。
殴ったのはもちろんケイトだ。
「なぜ…お前がここに…お前はビルごと落ちていった!」
「誰が?何と?落ちていったって?」
そこでショウは気づいた。
「ビルが…直ってる…!?」
先ほど倒壊したはずのビルの一角が元に戻っていた。
だが傷は確かにある。
「どういうことだ…!?」
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