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「俺の姿は見えるだろ?追って来てくれ。」
〈アンタの姿も見えないわよ!なんで夏に黒いコートなんか…〉
「寒いんだよ!それはいいだろ!あ、そろそろ追いつくよ。」
その路地に飛び降りた。
普通の人間なら10階建てのビルからジャンプするなど自殺行為も同然だが能力者である男にはそんな心配はなかった。
能力者は脳のリミッターが外れているため普通の人間の数倍は身体能力がある。
男は悠々と着地し、顔を路地の奥に向けた。
〈飛び降りるのが見えたわ。私が着くまで絶対に動かないでね!〉
そういうとシノは通信を切った。
追いつくことに専念したようだ。
シノには言わなかったが実は事態はもう動いていた。
飛び降りた顔を上げると目の前に追っていた標的はいた。
「な、なんだお前!」
突然の黒ずくめの男の飛来にさすがに驚いたようだ。
今回の標的は"怪盗パピルス"全国の大都市で盗みを働いては消息を絶つ謎多き男である。
一見するとサラリーマンのようなこの男がそうであると誰も思わないであろう。
「あー、これは…後でまたシノに小言を言われるな…とりあえず、見つけたぞ!怪盗パピルス!」
「ちっ!警察か…なら消すか…」
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