氷+鏡+最強

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「…え?本当にそんなのであのレーザーを防げるの?」 「ああ、能力で大事なのことはイメージだろ?局長もよく言ってるじゃん。」 ソウイチは能力のことで相談するたびにイメージという単語を連発する。 「俺がヤツの動きを止める。だからシノは集中してろよ。」 「ちょっと!ボロ雑巾みたいなアンタには無茶よ!」 シノは前に出ようとするケイトを止める。 「ボロ雑巾…ヒドい言いようだな…大丈夫だよ。終わったら今度はシノが飯奢れよ。」 そう言ってシノに微笑みかけるとケイトはシノの手を振り切ってショウめがけて突進する。 (ああ!もう!勝手に!これだから…) シノは急いでイメージを固め始める。 あの攻撃を跳ね返すイメージを。 「氷大剣(フリーズカリバー)!」 ケイトの右手に氷でできた大剣が現れる。 ショウはCO2レーザーを準備していた。 ケイトは大剣で斬りかかる、のではなく側面を盾のように構えて突進する。 レーザーが放たれる。 ケイトの思った通りCO2レーザーは一度の照射で1本が限界らしい。 大剣はケイトの体を覆い隠すほどの大きさ。 そのため、当然レーザーは大剣に当たる。 たとえ鏡を切断するレーザーでも所詮は光である。 当然、屈折する。 顔の中心を狙って放たれたレーザーは顔を逸れてケイトの首を抉る。 血が噴き出すが、すぐ氷で止血される。 このままでは埒があかないことを悟ったショウは、指を全てケイトに向ける。 通常のレーザーを撃つつもりだ。 だがなんと、ケイトは大剣を投げ捨てる。 (待ってました!) ケイトは両手を前に翳しながらなおも駆ける。 その距離は残り2~3m。 レーザーが放たれたのと、ケイトとショウの間に氷の塊が現れるのはほぼ同時だった。 だが今度の氷塊は屈折するためのものではなかった。 数本のレーザーはケイトを貫く。 右肩に1本、腹部に2本、左腕に1本命中するが、どれも致命傷ではない。 だが、残り数本はなんと、ショウに返っていく。 "ブリリアントカット"というものを知っているだろうか? これはダイヤモンドなどを、より光らせてみせるためのカット方法である。 この形は上から取り込んだ光を中で全反射させ、上に返すという特性がある。 この氷塊はブリリアントカットの形だった。 反射したレーザーにショウが怯み、動きが止まる。 その隙にケイトは残りの2mほどを詰めて、ショウの両手を掴む。 両手が氷で覆われる。
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