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紙人形の中にシノの姿は無かった。
すると後ろから怪盗の肩に何かが突き刺さった。
「こ、これは…鏡?」
肩に刺さっていたのは鏡の破片だった。
「どこ斬ってんのよ。私はこっちよ。」
と、意地の悪い笑みを浮かべながらシノは立っていた。
「アンタが斬ったのは私が能力で作った分身よ。」
「いつの間に…?まさかコイツも…?」
怪盗は確認のため残ったもう1つの紙人形にも斬りかかった。
が、やはりこちらも空だった。
「シノが"鏡の能力"の反射で作った像を俺の"氷の能力"で空中に作った氷のスクリーンに投影したのさ。」
ケイトも自慢気な顔でシノの後ろから現れた。
「様子見はこの辺で終わりでいいわよね?技も一通り見たしね。」
「さあ、能力者2人を相手にどうする?降参するならこれ以上攻撃しないぞ?」
鏡の破片を肩から抜くと怪盗は2人に向き直った。
「だが…私の全力のはまだこんなものではないですよ?先ほどまでの技は中身が空のいわば、形だけの攻撃…これからが本番ですよ!」
怪盗は持っている全ての紙と辺りに散らばった紙を操り固め始めた。
歪な形が徐々に整っていく。
できあがったのは、路地でギリギリ振り回せるくらいの巨大なハンマーだった。
怪盗はハンマーを上段構えたまま動かない。
「一撃にそれだけの自信があるってか。あれ…シノの"壁"で防げるよな?」
ケイトが尋ねる。
「あー…鏡だしなぁ…さすがにあれ食らうと割れるわね。アンタこそ、"氷剣"で斬り払えないの?」
シノの問いにケイトは苦笑しながら、
「あれさぁ…中身詰まってるよな?氷剣だと折れるかもなぁ…」
ケイトはそう言いながら1歩前に出た。
「でもまあ、シノはディフェンダーで俺はアタッカーって感じだしな。俺がハンマーは何とかするし、"アレ"よろしく。」
「…分かったわ。でも一人で大丈夫なの?」
「大丈夫だろ、当たらなきゃ。」
ケイトの空の両手に1本ずつ氷剣が現れた。
「じゃあ、行きますか。」
その言葉と共にケイトは飛び出した。
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