氷と鏡のコンビ

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すかさず怪盗はハンマーを振り下ろす。 左上から頭を撃ち抜かんとハンマーが迫ってくる。 ケイトはそこであえて一歩前に踏み込んだ。 氷剣の折れる恐れのあるハンマーの槌の部分ではなくそれを支える 柄の部分を狙うためだ。 左右の氷剣で柄を右に薙ぐ。 弾かれたハンマーは路地の壁に命中しコンクリート片を撒き散らした。 「やっぱ、耐えれないか…」 ケイトの氷剣は両方共ヒビ割れ始めていた。 「柄を弾いたのに、このザマかよ…」 「次は無いと思ってください。」 怪盗は今度もハンマーを頭上に構えた。 真上から振り下ろすつもりらしい構えだ。 「ここが耐えどころだな。」 ケイトはつぶやくと左右の氷剣を合わせた。 するとまた空気が動き出す。 さっきより大気が煌めく。 2本の氷剣が融合され、さらに氷でコーティングされていく。 「氷大剣(フリーズカリバー)!」 氷剣の倍はある大剣が姿を現した。 ケイトはそれを下段に構える。 一瞬の沈黙。 先に動いたのは怪盗だった。 殺意のこもったその一撃を振り下ろした。 それを見てケイトも下段から氷大剣を振り上げる。 ギィィン!と轟音が響く。 衝撃で砂ぼこりが舞う。 「やるじゃないですか。」 怪盗の余裕を失わない声。 それはケイトの氷大剣が押され始めているからだろう。 だがケイトも笑みを絶やさない。 しかもそれは勝利を確信した者の笑みだった。 「お前、状況が把握できてないんじゃない?俺は片手で氷大剣を振ってるのが見えないかい?」 「?」 そう、ケイトは右手だけでハンマーを受け止めていた。 そして煌めきと共に空いた左手にも氷剣が現れる。 「氷剣2本じゃ無理でも3本分ならいける!」 左手の氷剣も勢いよく振り上げる。 再び衝撃音が響く。 氷が紙を押しかえした。 怪盗はその衝撃でよろめく。 ケイトはさらに一歩踏み込み、上段に振り上げていた左右の剣をハンマーめがけて振り下ろす。 「よし!」「くっ!」 ハンマーは槌の根元付近から落ちて地面を揺らす。 勝負は決した。 ハンマーは柄しか残ってない。 ケイトの勝利である。
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