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だが、
「ふっ…壊したからなんだというんだ!紙が無事である限り何度でも武器は作れる!それを妨げたければ紙を燃やすしか無いぞ!」
怪盗は高らかに言い放つ。
「そうなんだよねぇ…俺が何回斬っても意味がねぇんだよなぁ…だから…シノ!今だ!」
背後の相棒に叫ぶ。
「OK!」
シノは頷くと地面に両手をついた。
「鏡面牢(ミラージェイル)!」
その声と共に地面が揺れる。
すると怪盗の足元から巨大な鏡がせり出し、怪盗の四方を瞬時に包囲した。
「?、ちっ!」
普通の人間なら反応できない早技であるが、怪盗も能力者の一人である。
まだ閉じられてない上部から逃げようと跳んだ。
しかし、空中には既にそれを読んでいたケイトが待ち構えていた。
「大人しく捕まっとけよ、っと!」
「がっ!」
ケイトがすかさず怪盗を鏡面牢に蹴り入れる。
肉体変化も間に合わない。
そして怪盗は鏡で完全に包囲された。
「まだだ!外は見えなくても紙は操れる!」
怪盗は必死にまた外にある紙に意識を集中させる。
だが手応えが全くない。
「その中からは外に能力は出せないわよ。」
シノの声が届く。
「アナタを包囲した鏡はアナタの能力も反射させる…つまり密閉されたその中では外に能力は伝わらない。」
「しかし中では使える。すると中に持ち込んだ紙で鏡を割られてしまう。だから俺が紙をアンタから遠ざけたのさ。」
ケイトの声も届く。
「ふん、そんなもの…この柄の部分だけで十分だ。」
怪盗の手で小振りなハンマーが作られる。
だがそれで鏡が割られることはなかった。
なぜならハンマーを持つ怪盗の手は氷漬けにされていたからだ。
「っ?、どういうことだ?外から中に能力は伝わらないはず!」
怪盗の疑問に答えたのはケイトだった。
「アンタさぁ、マジックミラーって知ってる?片側からは見えるけどもう片側からは見えないっていうアレ。鏡面牢は能力もそうなんだよ。片側からは伝わるけどもう片側からは伝わらない。」
「そんな…バカな…!」
「だからもう大人しくしときなよ。全身氷漬けにしてもいいんだぜ?」
「くっ…くそ…」
怪盗はついに諦めたようだ。
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