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一年のあの日、隼人は急に姿を消した。
さくらさんは遅かったねと言ったけれど、なんだか信じられなくて。
あの後二日間、さくら荘の全員で探したものの、隼人の姿は影も形も見当たらなかった。
結局、もともと乗り気ではなさそうだった優の提案により、三年になるまで待とうということになった。
でもそんなただ待つだけなんてできなくて。
「………できないんですよ」
「だからってボクの家に来なくてもいいだろう」
苦笑いを浮かべた灰崎さんはぽりぽりと頬をかいた。
あれから一年近く経った今日。
私は灰崎さんの家に来ていた。
灰崎さんの家は小さな日当たりの良いアパートの一部屋だ。
家具はベッドと机、それに本棚くらいしかない凄くシンプルなんだけれど、代わりに黒いギターやたくさんの猫がいて飽きない。
今もベッドの上では白と黒の猫が眠ってるし、灰崎さんのふとももを争うように子猫が乗っているし、私の横には太ったぶち猫が居座っている。
しかもまた、開いている窓から三毛猫が入ってきた。
猫カフェ行くよりもすごく面白い部屋だ。
「………だって、隼人が消えた理由分かるでしょ?」
「………………まぁ、分かるんだけど」
視線を逸らしながら灰崎さんは言った。
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