17人が本棚に入れています
本棚に追加
「………でも怒るにも理由くらいは聞いとこうと思って」
「なるほど、ねー。そりゃ聞いといたほうがいいわ」
さて、どうしよっかー、と猫に話しかける灰崎さん。
猫はみゃーと鳴くだけだった。
「まぁ、美空が来たときから答えは出てるんだけどさ」
「………なに?」
「いや、隼人に聞けってね」
そう言って憎たらしい表情を浮かべる灰崎さん。
にゃふんっ、と私の横の猫がくしゃみをした。
「………からかってるんですか?」
「いやいや、いたってボクはまじめだよ?でもコレは大事なことだから。ボクが説明するのはよくないと思うんだよね」
「………むぅ」
意味が分かってしまって私はうなる。
要は、隼人から話を聞いて、聞いた直後に言いたいことぶちまけろって話だろう。
灰崎さんは楽しそうだ。
「今日終業式だったの?」
「………はい」
私の制服を指差す灰崎さん。
私は明日から始まる冬休みを利用して、実家に帰るつもりでいた。
今日は学校から帰る途中で寄ったのだ。
「じゃぁ、年末年始はずっといるんだ」
私は頷く。
年末年始と実家にいるのは5年ぶりだ。
「じゃぁ、年始はボクも帰るから次はそんときに会えるね」
「………そうですね」
それまでには隼人と帰る算段をつけてやる。
そう決心する私だった。
______________________________。
最初のコメントを投稿しよう!