B.color.2 「………どーん」

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「………ありがとねわざわざ」 「あ、いえ……」 後部座席で揺られながら私は安藤さんに声をかけた。 安藤さんはバックミラーでちらりと私を見る。 「乗り心地はどうですか」 「………うん、すごく良い」 「それはよかったです」 灰崎のやつはうるさいんですよ、なんてぼやく安藤さん。 たしかにあの人ならどうでもいいことに突っ込んできそうだ。 「………この、くまさんは……?」 「あ、それですか?ゲーセンで取ったんです。あげる人もいないんで車においてあるんですけど……」 「………灰崎さんは?」 「…………アレにぬいぐるみが似合うと思います?」 想像してみる。 あの人がぬいぐるみを抱きしめている姿…… 「………ダメだこりゃ」 「でしょう?」 くくっと笑う。 猫とかはしっくりくるんだけど、あのシンプルな部屋で一人でぬいぐるみを抱きしめている姿とか……ぷふっ 「お嬢、いります?」 「………私はいいや。安藤さんの車にあるのもおもしろいし」 「ちょ、なんて理由ですか」 安藤さんが赤くなる。 でかいガタイとのギャップがあってなんか可愛い。 「………そろそろかな」 「そうですね。あと一分もかからないです」 山道を登り始めたころ、安藤さんとそんな話をする。 もう、つくんだなぁ……。
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