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「うらぁわれ!なにしとんじゃぼけがぁ!」
ふーふーと息を荒立てて、蹴り飛ばした二人を見るのはこの家の総家政長、安藤泰江さん。
私はヤスさんと呼んでいる。
ちなみに安藤さんとは夫婦だ(安藤は安藤朱雀という)。
「申し訳ありませんお嬢!うちのボケどもがご迷惑を!」
はわわと私の手を握るヤスさん。
「………いや、まぁしょうがないですよ」
「あ、なんと優しい……」
「…………なにやってんですかこれ」
戻ってきた安藤さんが冷たい目を向けてくる。
「あら遅かったわね」
ゆっくりとヤスさんが立ち上がり安藤さんを見る。
「アンタがくんの遅いからこうなんのよ」
「しょうがないだろ、車置かなきゃいけないんだから」
ちらりと状況を見て理解したのか、ぽりぽりと頬をかくヤスさん。
「まぁいいよ。では入りましょうかお嬢」
「………あ、うん」
「あぁ、お前らはクビな」
「「えっ!?」」
ぼーっと私たちのやりとりを見ていた二人に冷徹に告げた安藤さんは、門を閉める。
「………あの、いいんですか?」
「いいんです!お嬢に牙を向くとは恥知らずなやつらですから!」
グッとこぶしを握って言うヤスさん。
「まぁそんな感じですから」
ぐっと親指を立てる安藤さん。
あいかわらず息ぴったりの夫婦だな~……
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