B.color.2 「………どーん」

5/15
前へ
/108ページ
次へ
______________________________。 「あったかいお茶です」 コトリと目の前に置かれるお茶。 「………ありがとう」 「いえいえ。長く車にいて疲れたでしょう」 「………そうでもないよ。安藤さん運転上手いし」 「それはそれは。うちのが聞いたら喜びますよ」 私たちはとりあえず居間でゆったりとしていた。 ホントはいろいろと挨拶する相手がいるんだけど、とりあえずとヤスさんに薦められてしまったので。 ちなみに安藤さんは私の荷物を部屋に置いてきてくれている。 「どうです元気でやれていましたか」 「………うん。特にけがも病気もしなかった」 「あー……ほら、あのあとも……?」 「………あのあと?」 急に歯切れ悪くなるヤスさん。 すごく言いにくそうによどむ。 「あ、いや……やっぱりなんでもないです。元気ならよかったですよ」 「………うん」 ごまかすようにかぶりを振る。 なんだったんだろう。 「………ん、落ち着く……」 お茶を一口飲む。 相変わらずヤスさんのお茶は美味しかった。 「それは良かったです」 にっこりとヤスさんが微笑む。 「ねぇ~、ヤスさん~!?」 と、そこで可愛い声が響いた。 これは……柚季だ。
/108ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加