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「もう話しかけてくんな」
そりゃあもう、嫌そうに。
振り払い、俺を置いて教室を出て行った。
そして今まであった彼の親友という立ち位置までをも俺は失ってしまったという訳だ。
……いや、ただ単に機嫌が悪かっただけかもしれない。
今日からの他人とか俺の先走りで、学校に行けばまたいつも通りの1日かもしれない。
唐突だけど、このキノコを食べさせようと思う。
何故ならアイツの大好物がキノコだからだ。
機嫌が悪かったなら直るかもしれないし、
直んなきゃ直んないで、訳の解らないもの食べやがれ!
ショックを受けた俺からの、ささやかな仕返しだ。
あわよくば伝染ってしまえ。
俺のじめじめ気分と、ついでにキノコも生えろ!
……ん?ささやか、か?
まぁいいや。
「母さん、今日の弁当にこれ入れてー」
進まない箸を一旦完全停止させて、さっきの採りたてキノコを差し出した。
念のため、味見は俺だけがする。
……食べても特に異常は無い。
少なくとも直ちに影響は見られない。
普通においしいキノコだ。
ちょっとビックリだよ!
弁当箱におさまらず、タッパーに詰められたそれを持ち学校へ向かう。
……できればいつも通り、おはようって言ってくれればいい。
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