道端にさ

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さっきさあ、ぼく、とっても面白いもの拾ったんだ! 金髪の綺麗なお姉ちゃんが捨ててったんだけど、 英字新聞! 全部アルファベットで、見出しもちょっと日本語のと違うの! これでかぶとを折ったら、いつもと違って、和洋折衷で、なんだかとっても素敵だろうなぁ……! そう思ってたんだけど、ふと街路樹の上に造りかけの鳥の巣があるのに気付いたんだ。 お母さん鳥は、羽に怪我をしてて、それ以上暖かそうな巣は造れなそうだった。ひよどりも寒そうに凍えてる。ぼくは、彼らにこの新聞をやったら、少しは凌げるんじゃないかと思ったんだ。少なくともぼくがかぶとを折るよりも、必要なことだって解ったんだ。 惜しいような気もしたけど、ぼくはそれを細かく千切って巣に入れてやった。きっとまた歩いてるうちに、面白いものが見つかるさ。 母さん鳥は何度も嬉しそうにぼくをつついたり喉を鳴らしたりしてたんだ―。
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