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私達は食事を早く済ませ、早速作業に取りかかった。
アレウスは手早くポンプを取り付け、ブランコを作る作業に移っていた。
日は少し傾いているけど、アレウスの手際が良いお陰で木から垂らしている二本の太いロープを座る板にしっかり固定したら終わり。
「ここをこうして……おし! 完成!」
「すごーい! 1時間も経ってないのにブランコが出来たー!」
正真正銘のブランコだよ!
久しぶりにはしゃぎながら誇らしげなアレウスを見たら、ふふーんと自慢気に鼻を鳴らした。
「ほら、試しに乗ってみな?」
「私が?!」
この歳で!?
「試し乗りしておかねぇと子供が初乗りで落っこちたらどうすりやんだよ?」
「私が落っこちたらどうするの!?」
「ちゃんと受け止めてやっから。 俺が乗っても良いが、何か悲しいだろ、流石に」
うぅ…確かにブランコに乗ってる裏社会の帝王とかなんかやだ…。
私は渋々ブランコに座って、ゆっくりとこぎ始めた。
紐が軋む音が聞こえるけど、しっかりとしていて安定しているから怖さはない。
何回かこいだあと、私は地面に足を付けて止まった。
「うん、大丈夫みた…何やってんの?」
ふと前方のアレウスを見るとスマホを私に向けている姿が目に入った。
それと同時にパシャリとスマホから聴こえてくる。
「ちょ、ちょっとまさか写真撮ったの!?」
「可愛かったからつい」
「消して!」
「無理!」
アレウスの事だからキュイラスさんとかに見せるに違いない!
それは絶対に防がなきゃ!
私はブランコから離れてアレウスが持つスマホを奪おうと試みるけど、身長差を利用して遠ざけられてしまう。
「もーーっ! 消してってば!」
「やーなこった」
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