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―― RIVIRO
―― ローズクイーン号 船長室
本日は快晴。
潮の流れも穏やかでウォッドアイランド近海は航海日和だ。
楓姐様(アネサマ)がアレウス殿と日本へ発たれ早1日。
私は姐様の身を案じながらクルー達と共に船の手入れをしていた。
「船長、レーダーの具合があまりよくありませんが…」
「そうだな、次の航海まで日もない。 整備士共に連絡をとって至急整備にあたらせろ」
「アイ・マム」
先程からこの調子だ。
敬礼をして走り去るクルーを見送り、私は次の航路を確認するべくウォッドアイランド近海の海図を開いた。
航路はパターン化してあるのだが、どの航路を使うかは毎回私の判断による。
今回は初夏なのも手伝い、この辺りの潮の流れは速くなる傾向にあるから…。
「セレス姐様」
考えを及ばせていると、声を掛けられ顔を上げる。
そこには先程と違ったクルーが。
「何か用か?」
「その……ベリアル様がお見えです。 船首付近でお待ちになっていますが、如何なさいますか?」
「……すぐに行く」
なぜベリアルが?
不思議に思いながら私は開いていた海図を閉じ、椅子から立ち上がった。
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