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私は"殿"なのにベリアルは"呼び捨て"か……どうやら、私もまだ子供らしい。
それにキュイラス殿への距離の違いを見せ付けられたような気がした。
向こうは元恋人同士。
こちらは上官と部下。
当たり前…か。
「分かった。 あとで目を通そう」
そう言ってから私は書類を受け取る。
「えぇ。 それにしても立派な船ね」
「当たり前だ。 この船はウォッドアイランドの第1の防衛線を護る船、惰弱なものでは困る」
「そうだったわね。 RIVIROで防衛線を護るのは大総統からの信頼と実力がある証…流石だわ」
そう、それは今の私の誇り。
ウォッドアイランドに不法に立ち入ろうとする者、攻撃を仕掛けようとする者、そう言った者達は年間数十名にのぼる。
私が第1防衛線の守護を命じられた時から全て取り締まってきた。
誰が最終防衛線まで行かせるものか。
「ねぇ、セレス」
「なんだ?」
「……いえ、なんでもないわ。 それじゃあ、3日後に船を借りるわね」
なんだ?
今一瞬、表情が曇ったぞ。
「? あぁ、分かった。 誰かRIVIROまで送ってやれ」
「はっ」
そうしてベリアルは頭を1度下げ、私の部下に導かれ船を下りていった。
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