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「だって、なんだかんだ言って俺はルーキーっすよ? そんな大事なことは荷が重過ぎますって」
もっともだ。
ROYAL CROWNは裏社会にとって至高な存在、ルーキーは出る幕すら用意されていない。
「恐らく、直談判しに行くはめになると思いますよ」
「直談判? まさか…王の島に行けと?」
王の島はROYAL CROWNの本拠地であり、チェルシーが住んでいる場所…思いっきり敵地じゃないか。
「すいませんね、陽熔の姫君にいったんすが…」
「いや、いずれは行かなきゃならないと思ってたから」
「それは良かったっす。 念の為にお供を連れてった方が良いっすよ」
フィルは立ち上がりながら言うと溜め息をついた。
「どうしてだい?」
「陽熔の姫君側に新しく付いた勢力が田舎者で、裏闇の帝王側の人間に対して過激な対応をするんすよ」
「忠告ありがとう、考えておくよ」
素直に礼を言うとフィルは穏やかに微笑み、出入口へ向かって歩き出し、ドアを少しだけ開いてこちらに振り返った。
「あ、そうそう。 ここに来る前にジンセンパイから聞いたんすが、セレスセンパイ事故って…メディカルエリアに運ばれたらしいっすよ」
「なんだって!?」
あのセレスが!?
一瞬で我を忘れ、俺はフィルを追い越し部屋を出て、メディカルエリアに向かっていた。
「ナイスっす、キュイラスさん。 あなたはじっくり崩させて頂くんで」
フィルがそんな事を言ったのは、俺は知る由もない。
第37話 完
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