●第38話

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  ーー 日本 ーー ツリーハウス ツリーハウスに来て早くも2週間と少しが経った。 私とアレウスはツリーハウスでの生活に慣れ、ゆったりとしたのどかな時間を過ごしていた。 「アレウスー、ご飯出来たよー」 今は丁度お昼ご飯時でサンドイッチを作り、朝から外で何か作業をしているアレウスを呼びに家から出た。 「あれ? いない…」 作業をしていた形跡はあるけど、辺りを見渡してもアレウスだけがいない。 「アレウスー? どこー?」 アレウスを呼びながら家の周りをぐるっと見ようと歩き出し、家の側面をに差し掛かった時。 「ん?」 「わっ」 アレウスと鉢合わせ、私は驚いてその場で小さく飛び上がってしまった。 「び、びっくりしたぁ!」 「おっ。 悪ィ悪ィ、昼飯なんだよな?」 頭に巻いている白いタオルをつけたアレウスは楽しげに笑った。 アレウスは家の補強や手入れをしてくれていて、このつなぎ姿の作業着アレウスはここ最近のお決まりになってる。 思うんだけど、こんな風な姿を見てると部隊の長じゃなくて、ガテン系お兄さんに見えるし、よく似合ってたりするんだよね。 「うん。 今日は何してるの?」 「井戸に水を組み上げるポンプを取り付けてるんだよ、滑車式じゃ女子供には優しくねぇからなぁ」 そう言ってアレウスは家の側面にある井戸を指差した。 「アレウス…」 「ん?」 「なんでそんな技術持ってるの?」 専門職でもないのに、説明書や調べもしないでポンプ取り付けることが出来る日曜大工だなんて聞いたことない。 「そりゃお前、開発途中の無人島で古井戸にポンプ一つ取り付けられねぇで生きて行けるかよ」 聞けばこの人、道具に材料、時間さえあったら小屋くらい朝飯前レベルで建てることができるらしいですよ、皆さん。 私の旦那って本当に逞しい…。
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