●第38話

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  これは最近のお決まり。 何か楽しい事を発見したり、家族でやりたい事、経験したい事を見つけると「家族でまた来よう」「家族でやろう」とか提案し合ってる。 まるで合言葉のように頻繁に使っているから何だか擽ったい。 「あ、そうだそうだ。 ブランコ作ろうと思ってるんだよ」 「どうしてまたブランコなんか…誰が使うの?」 「将来生まれてくる俺と楓の子供」 良かった…。 アレウスじゃなかった。 「あははっ、まだ妊娠もしてないのに気が早いよー」 「万が一の事を考えろよ。 ブランコ欲しいって言われて俺が体調崩してたり、仕事で居なかったら付けてやれねぇだろ。 出来る時に付けとくんだ」 「なるほどね。 私が今のアレウスの歳になったらアレウス50歳だもんね?」 「おう、鍛えてるとは言え今より体力は確実に落ちてるから念の為だ」 アレウスの優しい気遣いが好き。 まだ分からない先のことなのにちゃんと考えていてくれる。 そして、この人の未来に私とまだ宿ってもいない子供がしっかりと存在している事が嬉しい。 「そうと決まればさっさとポンプ取り付けて作業に取り掛かるか!」 「あ、なら片付けも一段落したし私達も手伝う!」 「おう。 家族で使うんだからな」 「え?! 家族でって私やアレウスも!?」 「当たり前だ!」 ねぇ、私達の子供として宿ってくれるまだ見ぬキミ。 あなたはこんなにもお父さんに待ち望まれてるんだよ。 あなたのお父さんは、早くあなたに会いたくて会いたくて仕方がないみたい。 どうか、お母さんとお父さんにたくさん愛されて下さい。    
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