●第39話

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  ーー RIVIRO ーー メディカルエリア ーー アレウス side 日が傾き、黄昏時を迎えた頃。 シャロン達をなんとか宥め、セレスの様子を見に行く為にジンと共に廊下を歩いていた。 「セレスがねぇ」 俺はのったりくったりと歩きながら呟いた。 「新入りが船から落ちて助けに海へ飛び込むまでは良かったんですがねぇ?」 半歩後ろからジンの声が。 新入りにとっちゃ初めての高波で、軽く船酔いしながら作業をしていたら足を滑らせ海に転落しちまったとか。 それを見ていたセレス自ら海に飛び込み新入りを助け、新入りを先に船に上げたは良いが波にさらわれて姿を消した。 そして運良く能力を使い飛行していたネロが、気を失い波に揉まれているセレスを見つけ、メディカルエリアに運んだと。 「色々情報が捻れてたワケな」 「高波ならいくらセレスさんと言えど泳げませんからねぇ」 「俺でも無理だっつーの」 「大丈夫ですよぉ、アナタ人間じゃないんでぇ」 「あのなぁ…」 相変わらずなジンに緩く溜め息をついた。 「でもな、あれほど情報の共有はしっかりやれって言ってただろ?」 「してましたよぉ。 なのに錯誤がおきたんです、実際キュイラスさんはアナタに電話して留守電に報告入れてますしぃ」 「なんで残ってねぇんだ…」 「僕もシグルドさんもキュイラスさんが留守電残す所をちゃんと見てますよぉ」 そう、不思議なことに留守電が残っていないんだ。俺が持つ二台の携帯端末どっちにも留守電を残したらしく、その履歴が綺麗さっぱり残ってねぇ。 「故障してねぇのに…」 ったく、最悪だぜ。 「とりあえず、一度アナタの携帯を調べてみましょう。 少しずつ紐解いていけば、自ずと何か見えてくるでしょうし」 「そうだな。 俺が帰って来た以上、きっちりやってやる」 「まぁ? 大体検討はついてますがねぇ」 「マジか。 報告しろ」 「不確定なんで無理でぇす」 やけに意味深に呟くジンに不思議に思いながらセレスがいる病室に辿り着くと、一応ノックを数回してからドアを開く。 「入るぞー……お?」 「……あ」
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