愛しい手紙

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私は今真冬の公園にいる。 少し前なら買い物に出かけるとすぐに用事を済ませて夫の元に飛び帰ったものだ。 しかし、あの日を境にそれをすることをやめた。 公園にいるには理由がある。 一つはいつまでたっても繋がらない電話をかけるため。 もうひとつは一人になりたいから。 今年の冬はとても寒く、還暦を過ぎた体ではきつい。 でも、寒いと空気が澄んでいて今日のように青空が美しい日はいつまでもここに居たい錯覚に惑わされる。 家に帰りたくない。 強くそう思っても私には帰る場所などどこにもない。 それでも家に帰ろうとした私はもう一度電話をかけた。 やっぱり繋がらない。
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