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「ええと、なんですかシャンドラ」
まだ寝ぼけ顔のクレアがシャンドラたちを一瞥する。
「クレア、寝ぼけ頭の君に良い眠気覚ましだ」
そういってシャンドラがすっと立ち上がり、クレアに対してミニのスカートをまくし
あげて挨拶した。
「なんのつもりですか」
クレアはそれをみて怪訝な顔をする。それを見たアグリアもぽかんとした顔を
していたが、ルナだけがそれを静かな瞳で見つめていた。
「マリアの魂はここにある、まだ、あたしの中にあって共存しているのだよ」
シャンドラのその言葉に、クレアが絶句するのが見てとれた。
それと同時にクレアの顔の眉間にしわがより、シャンドラをきつく睨んだ。
「そんな言葉を今更信じろと?良いのですシャンドラ、哀れみなんて悲しいだけです、
ハクは哀れみを求めた、けれど、もうマリアは…帰ってなどこない、
貴方が、貴方が喰らったから帰ってなどこないんです…!!」
勢いだけはシャンドラに掴みかかりそうなクレアだったが、クレアはそれをしなかった。
手を震わせ、唇をきつく噛んで、地面を見つめていた。
「クレアさん、貴方の娘さんはシャンドラの中にまだいる、私が保証します」
そのクレアの怒りの渦に、凛と放たれたルナの声はクレアを我に返らせた。
「どうして、どうしてそんなことが言えるんですか…」
クレアの視線を、ルナがまっすぐと捉えた。
「私の本来のクラフトは死者を媒介とするクラフトです、誰よりも、
死と隣り合わせに生きてきた私には視える、多分、貴方の娘の意識は
シャンドラの中にあって、今もここにいる」
クレアがそれを聞いてシャンドラを見る。それは、普段のシャンドラを見るクレアの目では
ない、母親が子供を見る目でシャンドラを見た。
そしてシャンドラがふっと笑う。
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