第七幕「この胸の苦しい想いは」

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「ええと、なんですかシャンドラ」 まだ寝ぼけ顔のクレアがシャンドラたちを一瞥する。 「クレア、寝ぼけ頭の君に良い眠気覚ましだ」 そういってシャンドラがすっと立ち上がり、クレアに対してミニのスカートをまくし あげて挨拶した。 「なんのつもりですか」 クレアはそれをみて怪訝な顔をする。それを見たアグリアもぽかんとした顔を していたが、ルナだけがそれを静かな瞳で見つめていた。 「マリアの魂はここにある、まだ、あたしの中にあって共存しているのだよ」 シャンドラのその言葉に、クレアが絶句するのが見てとれた。 それと同時にクレアの顔の眉間にしわがより、シャンドラをきつく睨んだ。 「そんな言葉を今更信じろと?良いのですシャンドラ、哀れみなんて悲しいだけです、  ハクは哀れみを求めた、けれど、もうマリアは…帰ってなどこない、  貴方が、貴方が喰らったから帰ってなどこないんです…!!」 勢いだけはシャンドラに掴みかかりそうなクレアだったが、クレアはそれをしなかった。 手を震わせ、唇をきつく噛んで、地面を見つめていた。 「クレアさん、貴方の娘さんはシャンドラの中にまだいる、私が保証します」 そのクレアの怒りの渦に、凛と放たれたルナの声はクレアを我に返らせた。 「どうして、どうしてそんなことが言えるんですか…」 クレアの視線を、ルナがまっすぐと捉えた。 「私の本来のクラフトは死者を媒介とするクラフトです、誰よりも、  死と隣り合わせに生きてきた私には視える、多分、貴方の娘の意識は  シャンドラの中にあって、今もここにいる」 クレアがそれを聞いてシャンドラを見る。それは、普段のシャンドラを見るクレアの目では ない、母親が子供を見る目でシャンドラを見た。 そしてシャンドラがふっと笑う。
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