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「なぜだ、アリエルはなぜ君にそれを隠した?」
ルナがため息をつく。
「私はこの大クラフトを構築するのに大きな役割を持っているのだけれど、
アリエルにとってそれは気分の良いものではなかったのよ、
だから私も知らない事実を持っていることで、安心したかったのではないかしら」
シャンドラがそれを聞いて呆れた顔をして笑った。
「はは、つくづくだな、なるほど、八方ふさがりなのは理解した、
それに万が一向こうのアリエルがこの瞬間にも死んでしまわないとも限らん、
ならば当初の予定通りこの世界の終わりをルナ、君に促進してもらおう」
シャンドラがルナに人差し指を向ける。
それを見て再びクレアがシャンドラに質問する。
「シャンドラ、ハクを殺すつもりですか?」
シャンドラがあきらめ顔でクレアを見る。
「クレア、君にあたしの中のマリアの話をしたのは、君に因果を持たせたかった
からだよ、おそらく、当初の段階では君とあたしには因果はなかった、
マリアの身体を持っているというだけでは因果が弱かったのだろうね、
だけれど今は違う、半信半疑であれ、君はあたしの中の…」
そういいかけたシャンドラが、シャンドラの右手に握りこぶしを作って、
ポカポカという軽い音がなるような勢いでシャンドラの頭を自身の手で殴り
はじめる。
「おい、こらマリア、やめろ」
クレアや、ルナたちがぽかんとそれを眺める。
そしてそれを白々しく見ていたルナがシャンドラに言葉を向ける。
「そういう演技は面白くないわよ」
それを聞いてクレアもため息をつく。
「おい、クレアも、なんだその顔は、あたしは演技などしていない、
マリアがママをいじめるのはやめろと脅迫してきているんだ、
全く、クレア、君と白狼の娘はとんだおてんばだな」
クレアがそれを聞いてハッとする。
マリアの精神が完全にシャンドラに乗っ取られた11歳の時だった。
けれどそれまでのマリアの気質はクレアは十分に理解しているつもりだった。
マリアならそんなことも有り得る、そうクレアは思った。
「クレア、君はこの世界が終わってもここに残る、あたしと一緒に、
これはおそらくルナの知らない未来だ、白狼と対峙した時に、やつを
説得したければ好きにしたまえ、まあ、十分すぎるほどやつは殺しすぎた
がな、ああいや、これはあたしが言うことでもないか」
シャンドラが自重気味に肩をすくめて笑う。
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