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アリエルが自室を出た頃、
シャンドラとクレアがミラとの対話を終え、シャンドラ邸へと帰還する。
「ねえ、どうだったミラ、元気にしてた?」
帰ってきたシャンドラに、ヘレンがにっこりとした笑顔で声をかける。
「君にミラを倒して、などしてもらえれば良かったかな」
シャンドラは冗談まじりにそう言ったが、ヘレンがそれを聞いて笑う。
「冗談、私は強い方につくからね、今なら当然…」
そう言いかけたヘレンをシャンドラが「わかっていたさ」、と言って建物の奥へと歩いていく。
ヘレンはシャンドラの絶対の味方ではない、いや、厳密には誰の味方でもない、
それがヘレン・バッシーなのだ。
シャンドラはクレアに別行動を支持して、ある場所へと向かった。
それはシャンドラの事務室だった。
事務室にシャンドラが入ると、そこにはルナとアグリアが待っていた。
「待たせた、ミラは問題ない、まあ、当てにはならんかもしれんが、
言わないよりはマシだろう」
そういったシャンドラが自室の事務椅子に乱暴に座る。
「アグリア、後はよろしく頼んだわ」
そう言って、ルナがシャンドラの事務室を出て行く。
アグリアはため息交じりに頷いて、シャンドラを、見た。
その瞬間シャンドラの中に、アグリアという魂が入ってきたのだ。
(おい、シャンドラ、聞こえるか)
アグリアの声がシャンドラの頭の中で響く。
「聞こえているよアグリア、でも、なにかが変わったとは思えないな」
シャンドラは右手と左手のぐーと、ぱーを繰り返しながら答える。
(すぐには変化はないかもしれない、もしくは失敗か、まあその時は
覚悟を決めるしかない)
アグリアは自分も消滅するのだというのにも関わらず、
実に他人事だった。
「あたしは何度か死に掛けた、この超越者のあたしがだ、
どこにでもある、だれにでもあるくだらない概念だ、
だが、今はそれを迎えるわけにはいかない」
そういったシャンドラは、笑っていなかった。
アグリアはそれを聞いて黙っていたが、やがて一言発した。
(それでも尚、私たちは生きていくのさ)
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