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その姿を捉えて、シャンドラとクレアが立ちふさがる。
「やあ、ひさしぶりだね、白狼」
シャンドラが対象に向かってしゃべりかける。
それはシキを追っていた白狼、ただ、一人だった。
「ラッセルは別行動か、都合がいいな、君一人なら、あたしたちでも
なんとかなりそうだ」
シャンドラがすでにわかっていたことをつらつらと述べる。
白狼は薄く目を開いて、シャンドラとクレアを捉えていた。
「クレア、君がシャンドラのために残っているとは誤算だった、
この世界は崩壊へと向かっているというのに」
シャンドラの顔が引きつる。
それは白狼のあまりの余裕の表情だった。
世界の崩壊はルナとの打ち合わせによってシャンドラたちは認知して
いたが、それを白狼が知るすべはない。
よって、よくよく考えれば、白狼が図ったようにシキを追うのは、
なにかおかしいのだ。
「知っていたような口ぶりだな、この世界の崩壊を」
シャンドラが白狼に叫ぶ。
シャンドラとクレアと白狼の距離は、おおよそ15メートルはあった。
「知っていたさ、聞いていたからな」
白狼はしれっとそう答えた。
「なに」
シャンドラは不服そうに言葉を吐き出した。
「シャンドラ、君とルナたちとの行動などオレたちには筒抜けだ、
オレはこの世界を掌握するところにいる、
だからルナとシャンドラが考えそうなことなど予想できる、
そしてオレたちには協力者がいた、
だから今ここにいる、そいつが教えてくれた」
白狼の冷たい視線は、シャンドラですら凍りつかせた。
「誰だそいつは」
小ばかにされたシャンドラの怒りの言葉だった。
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