第七幕「この胸の苦しい想いは」

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------------------------------------------------------------ 「戻って…きた…」 そう驚きの声を上げたのはルナだった。 そこは、はじまりの廃ビルの一室。 ルナが大クラフトを成立させるために用意した、6つの印の中心だ。 世界という大クラフトの時間でいえば半年、現実世界に換算すれば、経過時間は0。 完全に隔離された時間に身をおいていたせいか、生身に疲れを感じる。 けれど、その疲労感もつかの間、廃ビルの脆い壁をぶち破ってきた者たちがいた。 コンクリートの煙の向こうに立っていたのは二人組み。 骸骨をモチーフとした装飾できかざった、長身の人影と、小柄な人影が二つ。 長身の人影は両腕に長い爪を、小柄な人影はスナイパーライフルのようなものを 手にしていた。 「すごいすごい、さっすが先輩ですね、こうもあっさり見つけちゃうなんて」 小柄な人影が関心したように声を発する。 ルナが警戒したように、じっと二人を睨む。 「私たちはナインスカル、ルナ・メイア、君はシャンドラに加担する者か?」
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