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「うるさいうるさいうるさい!!」
私は金色の髪をかき乱して、頭を抱える。
(まさか、何故自分だけが、なんて、思っているわけじゃあないだろうね、君なんて世界の恩恵の塊みたいなものじゃあないか、その美しい顔立ちに血統の良い生まれ、こんな大病院に長期入院できるだけの財力、まあ確かにちょっと運は足りなかったみたいだけど、それでも、十分すぎるくらいだと思うのだけど)
隣で遠くを見るこいつを強い瞳で睨む。
「人間でもないアンタなんかに、私の気持ちはわからない」
そう敵意を見せても、こいつは飄々として、笑った。
(ははは、確かにボクは人間ではないさ、けれどね、君たちの欲望と節操のなさは重々に理解しているつもりだよ、底が深いんだ、どいつもこいつも、けどね)
けどね、と言葉を切ると、すぐ私の目の前にすっと幽霊の様に現われて言った。
(ボクは君たちが生み出したものなんだということをお忘れなく、ボクは君たちの願いそのものさ、尊いものなんだよ、さあ、アリエル、言ってみなよ、君の願いを、吐き出してごらんよ、君という存在を)
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