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「だれだ」
いきなり声をかけられてアリエルがびくりとする。そしてその声を発した人物を見て驚く。
「アリエル、どうしてお前がここに」
相手も驚きを隠せないようだった、その人物はアリエルの叔父のガーディナルだった。
「おじさま、ご、ごめんなさい、その、迷い込んでしまって……」
叔父がこれまで見たことのない凄みある顔で近づいてきたことでアリエルは悟った。ここは入ってきてはいけない場所だったのだと。
「迷い込んだ?ふん、嘘をつくな、ルナあたりがここへ誘導したのだろう、普通に院内を探したとしても見つけられるとは思えん」
どうしてルナの名前が出てくるのか謎だった。さっきの女性は体格からしてもルナではなかったのだから。
「まあ丁度良い、アリエル、準備が整ったのだ、我々の悲願が叶うのだ」
ガーディナルが今度は上機嫌で、けれどどこか狂った様にアリエルに言葉をかける。
「私たちの悲願って、なんのことだか……」
まったく心当たりがないことに、アリエルは戸惑った。
「困ったものだな、ならば、これを見てもまだ思い出せんかね」
ガーディナルがパチと装置の電源のようなものをつける。
真っ暗で、小さな光が明滅していたその空間が、一気に照らし出される。
「……!!」
そこには高い天井一面に敷き詰められた箱のような空間がたくさんあり、その中に人影が見えた。眠らされているような、死んでいるかのような、そんな青白い顔の人間たちだった。
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