第七幕「この胸の苦しい想いは」

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---------------------------------------------------------------------- ---------箱庭世界が終わる、その数時間前。シャンドラ邸、シャンドラの事務室。 アグリアから熱い紅茶をルナとシャンドラを受け取る。 シャンドラがアグリアに賞賛の声を上げる。 「アグリア君、あたしの分まですまないね、いや、意外とうまいじゃないか」 アグリアが少しむっとした顔をする。 「意外は余計だろ」 ルナがそのやり取りをみながら静かに紅茶を飲む。 「話を整理しよう」 シャンドラが話を仕切り直す。 「あたしが一方的に話すが、これは確認だ」 「ここは22番目の大クラフト、世界、  そして、それの核がアリエル・ラシュディ、いや、  今は白汪アリエルだったか、  そしてそれに力を貸しているのが、ルナ、君と  アグリア、そして白狼、あと二人いるのだったか」 「つまりこの大クラフトは5人の補佐によって成りっていた  わけか、ただ、その大まかを担っているには君で、  厳密には他4人が補佐なわけだが、つまりはこの5人は  特にこの世界で能力を発揮できるわけだ」 「この大クラフトは因果を拘束することを目的としていて、  因果の中心がアリエル、その図式から遠ければ能力を奪われる、  白狼はあたしたちがやつを追っていることに気がついていて、  それでここにまんまとおびき出されたわけだ」 「確認だが、この大クラフト、未完成だと言ったね、  あたしたちの中で、ヘレンにだけはここの能力は該当しなかった、  つまりは彼女だけは元の力のままだ、彼女のクラフトはクラフトを  無効にする能力だ、だが例外がある、おそらく彼女は大クラフトの  能力を無効にできない、あとルナ、君のような血によって継承される  類の能力も無効にできない、おそらく制限が他にもあると思われるが、  ヘレンがここの能力を無効にできるのも、本物、でないからなのか?」 ルナが静かに紅茶を飲みながら頷く。
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