第七幕「この胸の苦しい想いは」

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「おそらく、アリエルの大クラフトはガーディナルによって作られたもの、  彼はアリエルを使ってなにかを企んでいる、けれど失敗する」 シャンドラがにやりと笑う。 「そうか、君には視えているんだったな、それで、やつはなにをすると  いうんだ」 ルナが少し不愉快そうにシャンドラを見る。 「私が視ることのできる未来は、可能性のひとつよ、まず、ここに  取り残されるのはシャンドラ、シキ、そしてあのおさげの子」 シャンドラが少し驚いた表情をする。 「フレヤか、なるほど、ならばあいつも一緒か、はは、なんだかんだで  今だに仲が良いようだなあいつらは」 シャンドラがどこか懐かしそうに笑う。 「生き残りの作戦はこう、白狼にシキを殺させないこと、  彼はまずシキを狙うわ、貴方ではなく」 「ほう」とシャンドラが少し納得したような表情でそれを聞く。 「それで、この世界が崩壊する引き金を君が引いて、白狼がシキ君を  殺そうとする、残されたあたしたちはどうすればこの世界から脱出できる?」 ルナが「ふう」とため息をつく。 「今のシキならばおそらくアリエルを助けようとするはずよ、  シキはこの世界を構築する能力者ではないけれど、アリエルと一緒に  この世界を構築した人間ではあるの、シキならアリエルを説得できる」 シャンドラが手を振る。それは否定を意味するようにみえた。 「曖昧だな、説得すればアリエルは我々を解放できるというのか?  彼女は何もしらないんだぞ、仮にこの世界の崩壊をトリガーとして彼女の  記憶が戻ったとして、彼女にそれができるのか?アリエルを殺す、  もしくはそれを企んだガーディナルをどうにかすることで脱出できるのでは  ないのかね?」 ルナがそれを聞いて「わからない」と答える。
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